アトピーの大敵とされてきた汗ですが、汗をかかないように過ごすのがいいのかというと、そうではありません。
確かに汗をかくと、アトピーのかゆみが強くなって、その患部を掻いてしまい、症状がひどくなるという話はよく聞きます。
だから、アトピーの場合は汗をかかないようにするべきなのだという理屈です。
確かに一理あるかもしれませんが、事はそう単純ではないのです。
今回は、汗が持つ役割と、アトピー患者にとっての運動の重要性について解説していきます。
汗をかかないようにすることよりも、汗をかく体質になる方が、長期的に見ればアトピー改善につながると考えられています。
アトピー患者の場合、自律神経に異常があり、汗をかきにくい体質になっています。
そのため、体温を下げることがなかなかできずに、結果として、かゆみがなかなかよくならないという悪循環に陥っています。
そのため、重要なのは、効率的に汗をかくことができる体を作ることが必要なのです。
汗をかく体質にするには、段階的に行動をとることが大切です。
いきなり一気に汗を出そうとして急激に激しい運動をすると、まだ汗をかくことがうまくできないのに体温が上昇し、熱中症や意識が朦朧として倒れてしまうことがあります。
そのため、最初は簡単な運動から始めていくことを勧めています。
また、運動と並行して、入浴の重要性もあります。
人間の体は入浴でも汗をかきます。
ですが、入浴後にしっかりと汗を拭き取り、保湿を図る必要があります。
運動は最初の頃はウォーキングや軽いジョギング、サイクリングなどが有酸素運動で理想的です。
一日20分から30分ほどでいいので、毎日続けることが大切です。
そして、気をつけるべきことは、汗をかいたら、こまめに拭き取ることです。
アトピー患者におすすめするのは、朝に運動して、すぐに入浴することです。
室内にいるときは、室温を下げすぎないようにすることです。汗をかくことを想定し、外出時や運動時にタオルを持ち歩くようにしましょう。
入浴後は体をしっかりと拭き取り(ただし刺激に弱いので強くこすらないように)、保湿剤を使用します。
そうして、徐々に汗をかける体質に変えていくことが、アトピー治療につながります。