女性は、思春期を迎えると女性ホルモンを分泌するようになり、その機能が十分働くようになると生理が始まります。
そして、個人差はありますが、40代頃から卵巣の老化が始まって、今度は女性ホルモンの分泌量が減り閉経へと向かいます。
卵巣機能が低下して女性ホルモンの分泌量が減る時期のことを「更年期」と呼び、
その間に引き起こされる様々な症状が、日常生活に支障があるほどひどいことを「更年期障害」と呼びます。
更年期障害には色々な症状がありますが、その多くが自律神経の乱れから引き起こされます。
みんな頑張って乗り切っているのに、自分は情緒が不安定になってすぐイライラしてしまう、うつで何もできない、自分はダメだ、と落ち込む必要はありません。
症状の大きさにはかなり個人差がありますし、イライラやうつはあなたのせいではなく、自律神経の乱れのせいなのです。
ではなぜ更年期には自律神経が乱れてしまうのでしょうか?それには、脳と卵巣の連携が深く関わっています。
女性ホルモンは、脳の視床下部というところから指令が出ることによって卵巣で分泌されます。
ところが、更年期になると、卵巣自体の機能が衰えて、指令が来てもホルモンを作って出すことが難しくなってきます。
そうなると、司令官である視床下部のほうでも、「指示を出しても部下が業務を遂行してくれない!」ということで、パニックが起こってしまいます。
そしてさらに厄介なことに、視床下部には自律神経の中枢があるので、自律神経もパニックに巻き込まれ、不安定な状態になってしまうのです。
自律神経は代謝や体温調節、臓器の動き、血管の伸縮を司っている神経ですので、これが乱れてしまうと、ほてり、めまい、倦怠感など身体的な症状が引き起こされます。
それに伴って不眠なども起こり、イライラ・情緒不安定、といった精神的症状にもつながっていきます。
様々な症状によって悩まされる更年期ですが、メカニズムを知って、イライラは自分のせいではなく、
自律神経の乱れなのだということを自覚すれば、少しは気持ちが軽くなるかもしれません。
また、女性ホルモンの減少によって「自分が女性でなくなる」と不安感を持つ人も少なくありませんが、
煩わしい生理から解放される、人間として次の段階に入ってより成熟する、
と前向きに捉えることも、更年期を穏やかに乗り切る秘訣の1つではないでしょうか。