どんな職業でも、経験がモノをいう場面が必ずあります。場数を踏み、経験を積むことが、能力アップの最善の方法であるとの考えを、一概に否定することはできません。
あらゆる職場で、経験者が優遇されるのはそのためです。とは言うものの、最初から経験豊富な人など、どこにもいません。
最初はみんな初心者なのです。では、メディカルアシスタントの世界では、この経験というモノを、どう考えればよいのでしょうか。
メディカルアシスタント、すなわち医療事務の仕事に、医師や看護師のような免許は必要ありません。学歴も必要ありません。
必要なのは患者さんを思いやる心と、業務に必要な知識や技能。つまりメディカルアシスタントとしての実力だけが必要なのです。実力が全てと言っても過言ではありません。
では、いざメディカルアシスタントの仕事に就こうとする時、採用する医療機関としては、その実力をどのように評価するのでしょうか。
実はこの場面で、もっとも重視されるのが経験です。
他の医療機関に実際何年か勤務した経験がある人ならば、実際に必要な知識や技能は、ほぼ習得しているとみて間違いないからです。
時には、以前の職場を退職した経緯に問題がある場合があるかも知れません。また、再就職までのブランクが長くて、保有している知識が古くなっている可能性もあるでしょう。
それでも、仕事に関する理解や基本的技能は確実に備わっている経験者が、採用において有利なのは確かです。
それでは、未経験者は太刀打ちできないのでしょうか。いいえ。
実力が全てなのですから、経験は無くても、メディカルアシスタントとして必要な実力が十分に備わっていることを証明できれば、十分経験者に対抗できます。
では、その実力をどうやって証明するのか。そこでものを言うのが、メディカルアシスタントの資格です。
メディカルアシスタントの資格は、各認定団体が授与する民間資格で、医師や看護師の資格を表す「免許」という性格はありません。
それが無ければ仕事に従事することができないというものではない。言い換えると、資格は無くても仕事はできるということです。
では、何のために取得するのか。メディカルアシスタントの資格は、一種の検定試験です。
受験者の実力を検定し、この資格を保持する人物は、メディカルアシスタントの仕事に従事するに足る知識や技能、
すなわち実力を保有していると認定団体が客観的に評価し、証明するというものです。
つまり、経験に替わる実力の証明になるのです。
資格試験の受験に際しては、学歴などの資格の制限はありません。誰にでもチャンスは与えられています。
試験対策の勉強は、もちろん独学でも出来ますが、短大や専門学校、通信教育講座の医療事務コースを受講するのが一般的です。
短大や専門学校では丁寧に就職指導をしてくれますし、大手の通信教育講座の会社では、自社で大きな病院と契約し、派遣という形で就職を支援してくれるところもあります。
経験の無さは、このように補うこともできるのです。
そして実力を認められ、見事憧れのメディカルアシスタントになったあなたは、そこから様々な経験を積み重ね、
やがてプロフェッショナルとして、同僚からも患者さんからも一目置かれる存在になっていることと思います。
その時に気づくことでしょう。かつて、全く経験の無かった自分が、今や資格と経験の二つの武器を持つまでに成長したのだということを。
未経験のあなたも、そんな未来を目指してがんばってくださいね。