HAART療法でHIV感染者の寿命はこんなに延びた!!

HIV治療は、ここ10年15年で目覚しいし進化を遂げています。

それまで不治の病とされていたエイズが、エイズの発症を遅らせるという治療法の開発によって不治の病から、一生付き合っていく病へと進化することができたのです。

HIVに感染した患者さんの平均余命が延びたのは1997年以降で、HAARTと呼ばれる多剤併用法による治療が極めて効果を発揮したためです。

1997年以前、HIVに25歳で感染したとすると、患者さんの平均寿命は感染後7年ほどでした。

それが、HAART療法がはじまった1997年以降に治療を受けた患者さんの場合には、平均寿命が感染後40年と飛躍的伸びたのです。

HIVに感染していない、健康な人の25歳以降の平均寿命は50年ですので、健康な人にあと10年と迫るとことまで、HIV感染者の寿命が延びてきたことになります。

HAART療法とは、複数の抗HIV治療薬を患者さんそれぞでの症状や体質に合わせて組み合わせて投薬する治療法です。

ウイルスの増殖を抑えることで、エイズの発症を防ぐことができます。

HIVは突然変異を起こしやすいため、1種類の薬剤を投薬していては、すぐに薬剤耐性ウイルスに変化してしまいます。

その薬剤耐性変異を起こさせないように、適切な薬剤を組み合わせて処方することで、長期間に渡ってエイズの発症を食い止めることができるのです。

HAART療法には、例えば肝機能障害・高脂血症・高血糖・糖尿病・発疹・腎機能障害など、様々な副作用が起こる可能性があり、重篤な副作用が起こる場合もあります。

しかし、そのデメリットを差し引いたとしても、HIV感染者にとっては、希望となる治療法なのです。

また、薬の費用がかかるため治療費や通院日の問題もあります。

抗HIV薬は飲み忘れが月に3回程度あっただけでも効き目がなくなるという非常にデリケートな薬なだけに、薬をしっかし飲み続けることも患者さんにとっては負担になっていました。

しかし、今から15年くらい前では、1日に20錠もの抗HIV薬を5回に分けて服用する必要があった抗HIV治療薬も、今ではわずか1日1回2錠の服用で効果が発揮できるように進化しています。

飲み忘れを防ぐという負担も、大幅に軽減されました。症状が安定している患者さんであれば通院も3ヶ月に1回程度でよくなり、通院や治療費の費用的負担も軽減されています。

HIVに感染しても寿命をまっとうできるだけ、長生きできる患者さんが増えています。

今後も治療法は進化していくでしょうから、HIV感染者と健康な人との平均寿命の差がなくなる日も近いのかもしれません。