妊娠中に淋病感染が分かったら

もしかして、妊娠…?待ち望んでいた新しい命が体内に宿る幸せは、女性でなければ分からないものですね。

多くの場合、初めての妊婦健診では、妊娠を継続していく上での安全のために、妊婦さんがクラミジア、淋菌感染症などの性感染症に罹ってはいないかを調べます。

もし、その時に、淋菌感染症に感染していることが分かったら…。

感染経路を思うと、ショックで落ち込んでしまうかもしれませんが、早く治療して、安心して出産できることを考えましょう。

淋菌感染症に感染すると、淋菌は、膣から子宮内へ進行して、子宮内に炎症を起こします。そして、それが流産・早産の原因となってしまいます。

また、治療しないまま出産すると、赤ちゃんは生後2〜4日目に結膜炎を起こしてしまうのだそうです。

これは、抗菌点眼剤、抗菌剤の内服などで治療ができるのだそうですが、生まれたばかりの赤ちゃんにとっては、大きな負担になりますね。

お母さんの体、そして、生まれてくる赤ちゃんのためにも、適切な治療を受けましょう。

淋菌感染症の治療は、女性だけが受けても意味がありません。必ず、パートナー(夫)と一緒に治療を受けましょう。抗生物質で治療します。

淋菌の仲間

淋菌の学名は“Neisseria Gonorrhoea”、すなわちNeisseria(ナイセリア)属のGonorrhoeaです。

実はナイセリア属は淋菌だけではなく、このほかにも親戚にあたる病原体が多々いることをご存じでしょうか。

主にヒトの口腔咽頭に存在しているナイセリア属は、そのほとんどが毒性が弱く、健康な人の身体のなかで無症状で生き続けているものですが、

なかには“Neisseria meningitidis”や“Neisseria flavescens ”のようにときとして髄膜炎という恐ろしい病気を生じさせるものもあります。

また、前者は淋菌にも該当する性質です。淋菌も多くのナイセリア属と同様に、「症状を見せず、自分の存在を隠してしまう」といった困った性質があるのです。

淋菌に感染した半数以上の患者が「自覚症状に気付かない」とされるのは、ここに理由があるといわれています。

なお、それは淋菌に限りません。実は性病を引き起こす病原体はほとんどの場合、「自分の存在を隠す」という能力を身に付けています。

「自分だけは大丈夫。性病になんかならない」などと思いこんだり先入観を抱いてしまうと、それこそ性病・性感染症の思うツボといえるでしょう。