淋菌性子宮頸管炎

女性の場合、淋菌が最初に感染する「感染好発部位」は子宮頸管炎です。淋菌性子宮頸管炎の主症状は、オリモノの異常。

一般的には粘液性、膿性の分泌物が外子宮口付近に認められることが多いようです。

診断も男性と同様、専門医を受診することから始まりますが、感染女性の多くは感染の自覚がないケースが大多数。

そのために知らないままに放置されてしまうことが多く、結果として「男性の淋菌感染症の感染源になる」といったパターンに至るため、注意が必要といえるでしょう。

また、もともと女性の淋菌性子宮頸管炎は男性に比べ症状が軽い、あるいは乏しいことが多いのも理由の一つです。

さらに医学が進歩してもなお、女性の淋病に限っては顕微鏡検査の信頼性が低いため、詳細に調べるには培養検査や病原体核酸診断法で淋菌の検出を行わなければなりません。

しかし、無症候性感染が多いことで「気が付くと悪化してしまった」という患者さんが多いことも事実です。

また、淋菌により骨盤内炎症を起こした際は淋菌性骨盤内感染症(PID)と呼ばれ、何よりも早期発見、早期治療が望まれる病気の一種であるといわれています。

淋菌性子宮頸管炎の診断

淋菌性子宮頸管炎の診断のうち、顕微鏡検査の信頼性が低いのは「女性の子宮頸管からの検体では雑菌の混入がある」ということが理由としてあげられます。

こうなると、淋菌の確認が非常に難しくなるのです。検査の結果、陽性であると判明した場合は、その進行具合を確認することが肝心。

子宮頸管炎は子宮内だけではなく、卵管内や腹腔内にまで広がることがあるためです。

さらに、約半数以上の患者さんには発熱や下腹痛、卵管や卵巣の圧痛が認められますが、ここまで悪化しているにもかかわらず「自覚症状がほとんどない」ケースも多々あります。

また、卵管炎を発症すると卵管狭窄や卵管閉鎖を引き起こす可能性も出てきますので注意しましょう。

その上、炎症によって卵管が周囲臓器と癒着することにより、卵管の蠕動運動が妨げられ、卵の輸送障害に陥ることも考えられます。

その結果として、最終的には不妊症や子宮外妊娠を招くことにもなるため、当然のことながら大切なのは早めに発見すること。

少しでも異常を感じたら、考える前に専門医による検査を受診するべきでしょう。

なお、通販などでも淋病の検診キットが販売されているので、「時間がない」という方は、これらを活用してみるのも良いかもしれません。

淋菌性子宮頸管炎の治療

それでは、淋菌性子宮頸管炎の治療とはどのように行われるのでしょうか。基本的には男性の治療と同様に、抗菌化学療法が主体です。

当然のことながら薬剤耐性淋菌の増加に考慮、または耐性菌が確認されない場合には少ない抗生物質が投与されます。

この際の薬剤投与は注射とともに、経口薬の服用が併用されるようです。薬剤耐性淋菌の増加は、淋菌感染症のなかでも最も大きな問題。

なぜなら薬剤耐性は複数の薬剤に対し存在するだけでなく、その薬剤耐性のなかにも多くの種類が存在するためです。

これらが同時に認められ、多剤耐性となっていることが重要といえるでしょう。

現在、使用されている淋菌感染症の治療薬剤(保険適用のあるもの)のうち、耐性菌が認められていないのは、セフォジジム、スペクチノマイシンの2種類だけです。

薬剤耐性は、「薬剤に接触した淋菌」の生き残りによって生じるため、治療後の淋菌の陰性化の確認が不可欠といわれています。

ところが抗菌剤服用終了時は一過性の菌量低下で検出不能になり、淋菌は「見せかけの陰性」を見せることがあるのです。

これは当然のことながら後に再燃する場合があります。

そこで、いまの一般的な治療法では陰性化確認のための淋菌検出は服薬終了後、淋菌の潜伏期間に相当する「10日間以上の休薬期間」を置いた後、改めて実施されるようです。