それでは性病・性感染症の一つ、淋病(淋菌感染症)とはどのような病気でしょうか。これは簡単にいえば男性には尿道炎、女性には子宮頸管炎を起こす感染症です。
近年では東南アジアやアフリカなどの途上国での蔓延が注目され、大きな問題となっていましたが、実は日本でも増加傾向にあることで話題となっています。
男性の淋病性尿道炎は、感染から発症までの期間が短いことが特徴です。
また、痛みなどの自覚症状が明確であることなども踏まえ、性病・性感染症全体の蔓延率の指標となり、
「淋病の感染率の上昇は、性病全体の感染率の上昇と連動している」と推定することができます。
より深刻な事態となるのが、淋菌が体内に広がってしまったとき。
男性の場合前立腺炎や精巣上体炎、女性の場合は子宮内膜炎や卵管炎、卵巣炎、骨盤腹膜炎といった骨盤内感染、
さらには腹膜炎などを発症し、その後遺症として不妊症に至るケースもあり得ます。
さらに配慮すべきは口腔性交による咽頭炎、肛門性交による肛門直腸炎、結膜炎のほか、分娩時の産道感染による新生児の結膜炎。
あるいは血中に侵入した場合は敗血症や心内膜炎、髄膜炎、関節炎などの全身感染症を生じる場合も考えられるため、事前の検査が重要です。
淋病は男女問わず自宅でも検査できるキットが販売されているため、何か思い当たることがある際は一度試してみるのが懸命といえるでしょう。
淋病の特徴
淋病は主に性交、あるいはそれに似た行為によって感染しますが、実は体温付近以外では発育しにくいことが特徴でもあります。
ごくまれに怪我などによって皮膚から出た膿から衣類、器具などに接触することによって感染することもあるものの、可能性はほとんどありません。
また、意外と知られていないのがその感染率の高さです。1度の性行為によっては約30%、10人に3人が感染する計算となります。
さらに、感染経験があっても免疫が得られることはなく、言い切ってしまえば注意しない限り、何度でも感染してしまう病気です。
発症するのは比較的若い年代に多く、男性では20歳代後半、女性では20歳代前半、
全体を見れば「若い女性」に多いといわれており、「無症状の患者」が大多数とされています。
男性の感染経路は性交からは尿道炎、前立腺炎、精巣上体炎の順、性交以外の性行為からは、
咽頭炎・直腸肛門炎があげられますが、精巣上体炎は不妊症を引き起こす原因ともなります。
同様に女性の感染経路は性交から子宮頸管炎、子宮内膜炎、骨盤内感染腹膜炎・肝周囲炎ですが、
子宮内膜炎は新生児結膜炎を、骨盤内感染は不妊症や全身的感染症を引き起こすことも考えられます。