偏頭痛は一般に若年者に多いと考えられていますが、中高年でも持続的に、あるいは中高年から発症することもあります。
中高年層は、社会的地位の高まりによっても、より一層ハードな仕事が要求されます。家庭の中でも、子どもたちの成長を含め、心配事が増える年代とも言えます。
そのため、目に見えない様々なストレスが蓄積されることで、次第に病気に蝕しばられてしまうことも考えられます。
中高年層の偏頭痛の場合、自分自身で「我慢をすれば、じきに治まる」という考え方を絶対に持たない方がよいでしょう。何故ならその偏頭痛が一歩誤れば、命に関わる症状を引き起こす可能性も含まれているからです。
ストレスから来る頭痛で多いのは、緊張型頭痛です。
心配、不安、イライラなどの精神的なストレスや長時間の不自然な姿勢、目の疲れといった身体的なストレスがかかることによって、頭から首、肩にかけての筋肉が緊張します。
それによって、血流が悪くなり、筋肉に乳酸などの疲労物質がたまって神経を刺激し、痛みが起こると考えられています。
緊張型頭痛を解消するには、ストレスのない生活を送ることが一番ですが、仕事や家庭内の問題をかかえやすい中高年層には、なかなか難しい課題です。
精神的なストレスが原因の場合は、気分転換をはかり、ストレスによって起こる神経や筋肉の緊張を緩和することが必要です。
パソコンなどの操作をする仕事など、座りっぱなしで肩がこるといった身体的なストレスが強い人は、長時間、同じ姿勢でいるのを避けたり、仕事量を減らしたりして、ストレスをコントロールすることが大切です。
中高年の間で、緊張型頭痛と偏頭痛の症状を併せ持つ混合型頭痛に悩まされる人が増えていると言います。症状は、いつも頭が痛い状態で、時々吐き気があるというものです。
混合型の場合、症状も複雑になります。専門医に症状を詳しく伝え、相談することをおすすめします。「くも膜下出血」が招く頭痛も、中高年には恐い病気です。
脳動脈瘤の破裂による出血が原因で、くも膜下周囲の神経や髄膜が刺激されるために生じるものです。突然、バットで殴られたような激しい痛みであるのが特徴です。
そのようなときは、決して我慢しないことです。速やかに診察を受けるようにしましょう。
更年期の偏頭痛の特徴
更年期に入ると、それまでとは頭痛の起こり方が変わってきます。
更年期になると、女性ホルモンの分泌の変化が激しいため、その変化により偏頭痛が起きやすいと言われています。
更年期を過ぎて閉経すると、女性ホルモンは低い状態で安定し、偏頭痛そのものが起こらなくなったり、軽症化する場合が多いのですが、
閉経前後にあたる更年期では、女性ホルモンの分泌が低下して不安定になり、むしろ偏頭痛が起こりやすくなったり、痛み方が変わると考えられています。
熟年期は、過大な家庭的・社会的ストレス、目の老化による眼精疲労、不眠、イライラ感、肩こりなど、いろいろな体調不良に見舞われます。
心身ともに不安定になり、そのストレスによって偏頭痛が起こりやすくなるとも考えられています。
30代、40代から更年期にかけての女性(特に専業主婦の場合)は健康診断を受ける機会が少ないので、頭痛に他の病気(糖尿病、高血圧、頚椎症など)、
が隠れていることもありますから、たかが頭痛、たかが偏頭痛と侮らず、医師の診断を受けることを勧めます。
尚、更年期には偏頭痛だけではなく、肩こりやストレスからくる緊張型頭痛も起こりやすくなります。
この緊張型頭痛が偏頭痛と重なると、最悪なことに毎日のように頭痛に悩まされるような状態になることもあります。