94年に成立した栄養補助食品健康教育法によって、サプリメント大国となったアメリカでは、「効能の情報」と「選択の自由」を得た一方、「選択の責任」も負うことにもなりました。
今のところ日本はその逆、簡単に言えば、「効能の情報は開示せず」「選択は厚生省に任せる」といった状態です。
しかしながら、近い将来、米国と同様の方向に向かうであろうという意見もありますが……、いずれにしても、アメリカでは最近、副作用の問題が少なからず起きているようです。
FDAには、嘔吐・下痢・頭痛などの報告が数多く寄せられているといいます。これはサプリメントの過剰摂取や副作用による健康被害の一例ですが、なかには、死亡者が出て問題になっているケースもあります。
特に、中国原産のハーブである「エフェドラ」に関しては、日本でもとても大きな話題となりました。
日本では医薬品なので、一般的には手に入りませんが、米国ではつい先ごろまで、「やせる」という効能が表示され一般に売られていました。(現在は、販売中止になっています)
このエフェドリンの副作用について、FDAの依頼を受けたカリフォルニア大学のグループが、99年3月までの約2年間に関連が疑われた140例を調べたところ、
その結果、87例が「関連あり」とされ、うち10人が死亡、13人に重い障害が残ったそうです。
しかしながら、成人の6割がサプリメントを常用している米国におけるサプリメントの地位は、そうたやすく変わらないようです。
約100社が集まる業界団体CRNのアネット・デッキンソン副会長はこう言っています。
「カロリーは高いのに栄養素は乏しい、そういった食事をしているのを、みんな知っている。だからサプリメントを摂取して、ジョギングに励む。これはもはや米国人のライフスタイルの一つなのです」
サプリメントの利用目的は「健康維持」のためがトップ
実際、米国の非営利組織(NPO)「IFIC」が、全米の成人1,000万人に対して行ったアンケートでは、回答者の59%がサプリメントなど機能性食品を3種類まで利用しているそうです。
この数値は、前回の98年調査より7ポイント増えていて、「米国人はサプリメントに対して、より積極的になった」という分析結果が残っています。
また、55歳以上の65%は、特定の健康目的で機能性食品を使っており、中高年の大きな関心の対象は、心臓病とがん、一方、34歳までの若い世代の主目的は、一般的な健康増進ということでした。
ライフスタイルが欧米化した日本でもサプリメントが必須アイテムに
これらはたしかに米国での出来事ですが、食生活が欧米化してしまった日本でも、近い将来、同じような状態、要するに、過半数以上の人々がサプリメントに依存せざるを得ない状況が、必ず来ると思います。
そして、やはりアメリカ同様、自己の責任において、サプリメントを選ぶ時代がやってくるかもしれません。
今、確実に言えることは、一昔前のように、「健康」が日常で、「病気」が非日常だった時代ではなくなったということです。
あと数年もしないうちに、常に健康に配慮しなければならない時代がやってくるでしょう。
事実、日本人より体が大きい米国人でさえ、ああいった食生活の中で、もはやサプリメントなしでは健康を維持できないのですから。
今、米国や欧州では、日本食がブームになり始めているようです…。この事実に、なんとなく皮肉さを感じるのは……、決して私だけではないはずです。
◆サプリメント「注意が必要な組み合わせ」
たしかに、サプリメントは医薬品と比べるとはるかに安全性が高いですが、だからといって、100%安全であるかと言えばそうではありません。
やはり、用法・用量などを守らなければ、副作用や後遺症を残すケースだってありますし、また、薬を飲んでいる人が、気をつけなければならない組み合わせもあるのです。
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