「過去に人工妊娠中絶手術を経験していると妊娠しにくくなる」と巷ではよく聞かれます。
しかし、そんなことはありません。適切な処置をしていさえすれば、未来の妊娠に影響をおよぼすことはありません。
はじめに、人工妊娠中絶手術について少し知っておきましょう。人工妊娠中絶手術には2種類の方法があります。
妊娠12週未満の場合には初期中絶を行います。これは妊娠の組織をかき出す、または吸い出す方法です。
以前と比べ、吸い出す方法での手術が増加しており、子宮を傷つけるリスクも減ったと言われています。
妊娠12週~妊娠21週6日までの場合には中期中絶を行います。
この頃になると胎児も大きくなりますので、陣痛促進剤により陣痛を促し、出産と同じような形で産み落とす方法です。
これらの方法が適切に行われていれば妊娠への影響は考えられません。
しかし、育ちつつある胎児をかき出したり、陣痛を促して無理やり産み落とすわけですから、母体への影響が全くないとは言えません。
例えば、初期中絶の際に卵巣を傷つけてしまったり、出すべきものが子宮の中に残留している場合には炎症や感染症、癒着の原因となりかねません。
炎症や癒着が起きると、卵管が詰まってしまい排卵に影響をおよぼしたり、子宮内膜が薄くなってしまい、着床されないといった不妊症の原因となる可能性があります。
しかし、不妊症の大きな原因は精神的ストレスです。
やむを得ない理由で中絶してしまったことを気に病み、自分を責めてしまうことが不妊症の原因となっているかもしれません。
中絶の際のトラブルが原因となり、卵巣や子宮内膜に影響を与えている場合には、産婦人科での検査で確認することができます。
適切に治療することで妊娠することが可能となるかもしれません。
一人で悩む前に、一度専門家へ相談してみることをお勧めします。
不安が取り除かれることで、妊娠しやすくなるかもしれません。
また、一度は妊娠しているのですからもともとは妊娠しやすい身体であるとも言えます。
抱え込んでしまい、そのストレスが不妊症の原因となってしまう前に、少しだけ勇気を出してみてはいかがでしょうか?