病棟クラークになったあなたは、仕事の現場である病棟で、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、診療放射線技師など他の医療専門職の人たちとチームを組みます。
そこは、時に人の生死の境に立ち会う「命の現場」。
病棟クラークは、治療行為そのものを行うことはありませんが、他の職種の人たちと同様、甘えの許されないプロとしての仕事が求められます。
そんな病棟クラークに必要な適性とは、どんなものなのでしょうか。
まず何より大切なのは、お客様は患者さんだということを、常に念頭に置いておくということです。
顧客第一主義という言葉がありますが、ここでは患者第一主義。
受付や会計の業務では、病院の顔として患者さんにっとての窓口になりますし、レセプト(診療報酬明細)作成の業務でも、
患者さんの病歴や治療内容などの大切な個人情報を取り扱うわけですから、常に患者さんを思いやる心や気配りが、何をおいても必須となります。
時には、患者さんから苦情や叱責を受けることもあります。
そんな時にも、それを真摯に受け止め、患者さんの立場に立って対応できる忍耐力、包容力も求められる適性でしょう。
患者さんに対する思いやり気配りといっても、それを発揮するには、患者さんの些細な変化をも見逃さないような観察力や注意力が必要です。
病院を訪れる患者さんは、多かれ少なかれ、心にストレスを感じているものです。
そんな患者さんの近くに寄り添い、その様子を観察し、病状の小さな変化や心の機微に気づいてあげられる、
そして患者さんと医師や看護師とのコミュニケーションの手助けができる能力も、病棟クラークに必要な能力と言えます。
病院での仕事は、医師や看護師など様々な職種の人たちとのチームプレイなので、当然チームワークの要である協調性も必要ですね。
また、他の職種同様、病院での業務は速さと正確さがあらゆる場面で常に求められます。
したがって、ひとつひとつの仕事を、てきぱきと素早く、しかも手際よく正確に行う能力も必要です。
このように、医療事務は大変な激務であるといえます。そのために自分自身で体力づくりや健康管理がきちんと出来ることも、大切な適性です。
また、病棟では図らずも人の死に立ち会ってしまうことなどもあり、時には強いストレスにさらされる現場です。
悲しい事があっても明るく振舞えるように、自分自身の精神的ストレスやフラストレーションを上手にコントロールする能力も必要でしょう。
ここまで読むと、「大変な仕事だなぁ…」とか「わたしに出来るだろうか…」と、不安になったり自信を無くしたりしてしまうかも知れません。
確かに、困難の多い仕事です。しかし、そこを乗り越えるからこそ、誇りを持ったプロとしての仕事が出来るのです。
そこで投げ出さずに困難に立ち向かって、努力と工夫で乗り越えてください。その心意気こそが、この仕事において最も重要な適性であるプロ意識です。
さあ、せっかく病棟クラークを目指すのですから、困難から逃げずに乗り越えて、プロフェッショナルの病棟クラークになりましょう。