アトピーの原因には内的要因と外的要因という2つの原因があります。
内的要因とは、アトピーになる患者自身が持っている原因のことで、生まれつきの体質、遺伝、アレルギーなどのことです。
外的要因とは、外部から与えられるものによって、アトピーが発症するというものです。ダニ、汗、カビ、といったものや食べ物もこちらに分類されます。
今回テーマにするのは、この外的要因の一つである洗剤についてです。洗剤の中でも、特に重要なのは合成洗剤です。
1970年代に日本のエネルギー産業は、石炭を原料としていたところから、石油を原料とする産業へと変化してきました。
1970年代まで、アトピーの患者というのは非常に少なく、珍しい病気でした。
しかし、この時からアトピー患者数は急激に増加してきます。その背景には、家庭に石油を原料とした合成洗剤が普及し始めたことがあります。
ですが、当時、皮膚科の医者の多くは、合成洗剤の使用と、アトピー発症の因果関係を認めませんでした。
原因を特定できるだけの統計データがないことも一因でしたが、依然として、外的要因よりも内的要因の方が重要だと考えられていたのです。
そうした背景もあり、加えて、この時期に画期的な薬が使えるようになったことも大きな原因です。
ステロイド薬です。
炎症を鎮めることに大きな効果を発揮するこのステロイドの登場によって、合成洗剤が皮膚に与える影響について十分な議論がなされなかったのです。
では、具体的に合成洗剤を利用すると、アトピー患者にどのような悪影響があるのでしょうか。
合成洗剤には界面活性剤という成分が含まれています。
洗濯する衣服に付着した汚れを取り除くのがこの界面活性剤の役割なのですが、これが人体に影響を与えるのです。
界面活性剤は、洗濯したあとの衣服にも残っています。
それを着ると、その成分が皮膚に付着します。界面活性剤は、皮膚表面(正確には細胞膜の成分に含まれる)の脂質と結合して、皮膚のバリア機能を破壊する効果を持っています。
このバリア機能とは、簡単に言えば、私たちの皮膚にウイルスやカビ、細菌、花粉、ダニなどの有害物質が付着した時に、体内に入らないように皮膚がバリアの役目をしていることです。
界面活性剤は、このバリアを破壊してしまうのです。
すると、本来防ぐことができるはずだった有害物質が、破壊されたバリアを通り抜けて、体内に侵入します。
体内では、侵入したこれら有害物質を排除するために免疫機能が発動します。
代表的な成分で言えば、免疫機能であるヒスタミンを分泌し、異物を排除しようとします。
この過程で、炎症が起きるのです。アトピー体質の場合、免疫機能に異常がある場合が多く、体内に侵入した物質のアレルギー症状を引き起こすことがあります。
そのため、合成洗剤を使用することを避けるべきなのです。