意外に知らないエイズとHIVの違いについて

みなさんはエイズとHIVの違いをご存知でしょうか。この二つを同じ意味だと考えている方が案外多いように思うのですが、実際は全く違う意味の言葉なのです。

まず、エイズとは「Acquired Immuno Deficiency Syndrome」のことで、簡単に翻訳すると、生まれた後に抵抗力が機能しなくなり、何らかの病気になってしまった状態という意味です。

その頭文字をとってAIDSエイズと名づけられたもので、日本名では「後天性免疫不全症候群」と呼ばれています。

一方で、HIVというのが何かというと「Human Immunodeficiency Virus」のことで、こちらも簡単に翻訳すると、人の病気に対する抵抗力を不完全な状態にしてしまうウィルスという意味があります。

この頭文字をとってHIVと名づけられたものなのです。日本名では「ヒト免疫不全ウィルス」と呼ばれています。

HIVとは、エイズの原因になるウィルスのことで、HIVに感染すると長い年月をかけてエイズを発症します。

HIVに感染した時点でエイズ患者になるわけではなく、HIVに感染したことによって、病気に対する対抗力が機能しなくなり、何らかの病気になったしまったことが確認された時にはじめてエイズ患者として認定されるのです。

HIVに感染し、エイズを発症する前の段階では、エイズ患者ではなく、HIVキャリアと呼ばれます。

HIVキャリアがエイズを発症するまでには、全く治療をしていない場合でも10年以上の年月がかかることもあります。

また、近年では抗HIV治療薬による治療によって、HIVの増殖を防ぐことでエイズを発症せずに長期間健康なままHIVキャリアとして生活できる人も増えているのです。

エイズ発症の判定は、CD4+リンパ球の数を観察することで行います。HIVはこのリンパ球を破壊するため、HIVに感染するとCD4+リンパ球は減少していきます。

これにより、免疫能が徐々に低下してしまうのです。

CD4+リンパ球が200/ul以下になると、健康な人ならば感染しない最近などに感染して起こる日和見感染等が出現しやすくなります。

HIVキャリアの体に起こった症状がエイズ指標疾患(23種)に当てはまると確認されれば、HIVキャリアはここで初めてエイズ患者として認定されることになります。

HIVキャリアは、自覚症状がなくてもHIVを人に感染させる可能性がありますので、性行為などにはもちろん注意が必要ですが、それ以外の部分では、健康な人と変わらない日常生活が送れます。

また、HIVは日常生活の中、例えば一緒にお風呂に入ったり、同じトイレを使ったり、同じ食器を使って食事をするなどの行為で感染することはありません。

そういったことが理解されずに、健康な人と変わらない生活が送れるにも関わらず、HIVキャリアが差別を受けた時代もありました。

しかし、現在ではエイズやHIVに関する知識や情報が広がって、多くのHIVキャリアがHIVに感染しても健康に暮らしているのです。