発見時にはすでに末期「いきなりエイズ」を防ぐには

HIVに感染していることが分かった時には、すでにHIV感染の末期に差し掛かりエイズを発症していしまっているという、いわゆる「いきなりエイズ」と言われるエイズ患者さんが日本には多数います。

あるデータによれば、HIV感染がこのいきなるエイズの状態で判明する患者さんの数は日本でのHIV感染者のおよそ3割にものぼるといわれています。

HIVは感染初期には、インフルエンザに似た症状など風邪によくにた初期症状が現れますが、

初期症状は数週間のうちに自然に消滅し、その後は長期に渡って無症状の潜伏期間が続きます。

この初期症状を見逃してしまうと、次に症状が現れるのは感染末期の日和見感染が起こるころになり、

その時に気が付いてもすでにエイズを発症しているといういきなりエイズの状態になってしまうのです。

現在の抗HIV治療ではHIVに感染しても、潜伏期間のうちにできるだけ早期治療を行えば、エイズの発症をかなりの割合で抑えることができます。

エイズを発症する前に治療を開始すれば、HIVに感染していても健康な人と変わらない生活を長期間に渡って営むことができるのです。

しかし、エイズを発症してからHIV感染が発覚するいきなりエイズの場合には、エイズを発症してからの治療は非常に困難な場合があります。

今のHIV治療の主体はエイズの発症を防ぐことにあります。HIVそのものを体から排除することができないため、エイズを発症してしまった場合には、

免疫力の低下を完全に止める手立てはなく、免疫力が低下したことで起こる日和見感染などの様々な症状毎に対蹠的に治療を行うことしかできません。

日和見感染には有効な治療法もありますが、これを繰り返し合併症などを起こしてしまえば、命を落とすことになってしまいます。

エイズを発症する前に治療を始めた感染者と、いきなりエイズの患者ではデータ上でも生存率の差がはっきりと現れています。

当然生存率が高いのは発症前に治療を始めたケースです。いきなりエイズを防ぐにはエイズ検査を受けることしかありません。

HIV感染の自覚症状は初期と末期になってから以外にはとほんどありません。検査を受けない限り自分では分からないのです。

欧米では、性行為の経験があれば定期的にHIV感染の有無を検査で調べるということが習慣になっている国もあります。

HIVに感染しているのではないかと不安があるならもちろんですが、そうでない人でもエイズ検査を受けることは非常に大切なことです。

HIVは誰が感染していても不思議ではない、身近な病だということを忘れないで下さい。

エイズは確かに恐ろしい病気です。しかし、検査を受けて陽性だったらと恐れるのは間違っています。

仮にあなたがHIVに感染していたとしても、早期にHIV検査を受けて感染が分かれば抗HIV治療によって、エイズ発症を抑えることが可能です。

早期発見と早期治療によって今まで通りに日常生活を送ることもできます。いきなりエイズを発症してから治療に入るよりもずっと治療効果が期待出来ます。

エイズという病気について恐れるべきは、いきなりエイズの状態で発見されることだと思ってください。

いきなりエイズを防ぐためにも、検査の重要性を私は声を大にして言いたいのです。