エイズを完治させることに成功した事例があるって本当ですか?

私はここまで、体内に侵入したHIVウィルスを根絶させる方法はなく、エイズを完治させる方法は現在のところ無いと、各項目で説明してきました。

しかし、それは治療法として実用レベルに達している方法として「無い」ということで、HIVウィルスに感染しながらエイズが完治したと認定されたケースが実は存在しています。

それはアメリカでの事例ですが。あるアメリカ人の男性で、その男性はHIVに感染してから10年以上が経過していました。

また、HIVと併発して白血病を患っていたため、当初は白血病の治療のために入院をして治療をすることになったのだそうです。

男性が受けた治療の内容は以下のようなものです。まずは化学療法や放射線で彼の免疫機能を大部分が破壊し、その状態で幹細胞の移植を行いうというものです。

移植後には抗HIV薬の摂取をやめるという世界でも前例のない治療法でした。

この肝細胞移植には、通常の肝細胞移植とは異なる特徴があります。

それは、肝細胞のドナーがHIV感染への耐性のある遺伝子を持ったドナーのものだったという点です。

HIV感染へ耐性のある遺伝子というのは、突然変異によってできるHIV耐性遺伝子として確認されており、この変異遺伝子を持っている人の確率は大変低いものです。

しかし、男性には移植に適合するかつ、この変異遺伝子を持ったドナーが現れたために、HIV耐性変異遺伝子をもったドナーからの幹細胞移植が実現しました。

特別な幹細胞を男性に移植した後、初期の頃にウイルスが減少するという完治の兆候が見られたとのことです。

そして、抗HIV薬 を使用していない状態で受けた検査の結果では移植から3年経っても、HIVいかなる兆候も見当たらないということで、

男性の主治医は世界で始めてエイズが完治した男性として、このケース発表するに至ったというのです。

しかし、この治療法は大変過酷な治療であり、実際に男性も亡くなっていてもおかしくない状況から奇跡的に完治したという状況がありました。

つまり、全てのHIV患者がこのとてつもなく辛い治療を受けられるわけでもなく、男性のように必ず完治するという保証もありません。

むしろ、現在のレベルでは死んでしまう可能性が高い治療とも言われています。

また、現状この治療には莫大な費用がかかるというところも、実用的な治療法とするには超えなくてはならないハードルなのです。

今はまだ治療法と呼べる段階ではありません。

しかし、HIVの進行を遅らせるのではなく、感染前に予防するということとも違い、HIVに感染した人が完治をしたというケースが一つでも存在することは、

患者さんにとっては勇気が出る話であり、HIVはいつかきっと完治させることができるという希望を持つことができると思います。

エイズを完治させるという夢に、人類が一歩近づいたというケースと見ていいのではないでしょうか。