エイズに対する知識が不十分だった時代には握手をしてもHIVが感染するなどということを信じている人がいたものですが、現在ではそんなことはないということを多くの人が既にご存知だと思います。
HIVは、そもそも空気に触れた瞬間に死んでしまうため、 空気に触れる皮膚には存在できません。食べものの中、水の中ではも生存はできないウィルスなのです。
HIVが含まれているのは 、感染者の血液・精液・膣分泌液が主なところです。
HIV感染者とおなじプールで泳いでも、同じ皿のなかの食べ物を分けあっても、同じコップの飲み物を飲んでも感染することはありません。
HIV感染者が使用した便座や食器を共用しても、もちろん握手をしても感染することはないのです。
では、HIV感染者の血液や精液、膣分泌液に素手で触れた場合でも、皮膚からHIVに感染することはないのでしょうか。
ケガなどの治療のために血液に触れたことや、性行為の中で手淫をしたために相手の精液や膣分泌液に触れたという可能性はあるでしょう。
しかし、通常であればこのような場合でも感染の可能性は限りなく低いと考えられます。
人間の皮膚は通常、身体を守るバリアや鎧のような役割を果たしているので、健康な皮膚にHIVを含む血液や精液、膣分泌液などが多少付着した程度ではHIVは移りません。
しかし、粘膜には皮膚のようなバリア機能がないために、膣内や膣の周辺、口内、肛門や直腸などではHIVに感染してしまうリスクが高くなります。
性行為によってHIVが感染してしまうのはそのためです。
コンドームを使用することで、HIV感染のリスクを防げるのは、接触する粘膜部分に皮膚の変わりにコンドームによってバリアをかけてあげるということなのです。
ただし、皮膚に大きな傷があるような場合には、傷口から感染してしまうリスクは高くなります。
感染者の血液や精液、膣分泌液に健康な皮膚が触れたことでHIVに感染する可能性が低いことは確かです。
しかし、感染のリスクを避けるという意味では、血液や精液、膣分泌液に直接触れることは避けるべきでしょう。