子宮筋腫の治療のために手術を受けることになった場合、当然のことながら手術の費用や入院代、検査代などさまざまな費用が必要になります。
手術の方法によって入院期間もかかる費用も違いますので、いくらかかるとはっきり言えるものではありませんが、かなりの金額になることは間違いありません。
しかし、食事代や個室を利用した場合の差額分は全額自分で負担することになりますが、治療費については、実際に支払わなければならないのは、かかった費用の3割分です。
それは、健康保険が適応されるからです。さらに、健康保険には高額療養費制度というものがあります。
これは、医療機関や薬局で払ったお金の合計額が、1か月のうちに一定の金額を超えたら、超えた分の金額が支給されるというものです。
ここで言う一定の金額とは、年齢や所得などを元に個人個人で決められているため、これもはっきりいくらまでと言えるものではないのですが、
この制度を利用することによって、支払ったお金のうちのいくらかが払い戻される形になります。
では、手術を受ける場合はすべてこの健康保険が適応されるのかというと、実はそうではありません。
手術の方法によっては、健康保険が適応されない場合もあるのです。それが、最近行われるようになった新しい手術方法を選んだ場合です。
子宮筋腫の手術方法で健康保険が適応されないのは、子宮動脈塞栓術と呼ばれる手術法です。
これは、足の付け根の動脈からカテーテルを入れ、子宮筋腫に栄養を送っている子宮動脈を見つけます。
そして、その動脈に塞栓物質を詰めることによって、子宮筋腫を壊死させるという手術になります。入院期間は2泊3日程度となっています。
開腹手術の場合、入院期間が10日前後となることを考えると、かなり短い入院期間であると言えますね。
ただし、この方法では、子宮筋腫に栄養を送る血管が細かったり、複雑に絡み合っていたりしたら、途中で終了しなければならない場合もあります。
この手術方法を選んだ場合、40万円程度費用がかかるとされています。また、集束超音波治療という方法にも健康保険は適応されません。
これは、虫眼鏡で日光を集めると、紙を焼いて穴をあけることができることをイメージするとわかりやすい治療方法です。
超音波を集めて患部に照射することで、子宮筋腫の組織を焼くという方法になります。
この治療法を使えば、入院する必要がありません。翌日には仕事をすることも可能です。
この方法は、子宮筋腫の大きさが10センチを超えている場合は使えません。
また、超音波の通り道が他の臓器によって邪魔をされる場合や、子宮筋腫が装置から遠い場所にできている場合は治療をすることができません。
さらに、子宮筋腫以外の組織を傷つけないようにするために、子宮筋腫のふちの部分は焼きません。
そのため、残った子宮筋腫が再び増殖して大きくなる可能性もあります。
この方法は、子宮筋腫を取り除くと言うよりは、小さくして出ている症状を軽くすることを目的とする治療法となります。
この治療法を選んだ場合、治療費は50万円から80万円程度かかると言われています。
以上のように、新しい治療法を選べば入院期間が短くて済み、回復が早い半面、健康保険が適応されないため治療費がかなり高額になるという問題があります。
そのため、健康保険が適応される場合とそうでない場合があることを正しく知って、慎重に治療方法を選ぶ必要があります。